1.雇用が進む外国人労働者
慢性的な人手不足のため、外国人労働者を雇用する事業所が年々増え続けています。介護労働安定センターによると、外国人を受け入れていない事業所は、不安感が高く雇用に踏み切れない傾向にある様子。一方で、受け入れている事業所は、「労働力の確保ができる」「職場に活気がでる(でると思う)」等のポジティブに感じているようです。
2.外国人労働者を雇用できる4つの制度
そもそも「外国人労働者って、日本語でコミュニケーションが取れるの?」「介護の仕事はできるの?」「いつまで日本にいてくれるの?」などの疑問が多いと思います。そこで、日本で介護の仕事を担う外国人労働者について詳しくご紹介します。
*厚生労働省 外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック
EPA(経済連携協定)
日本と経済活動の連携強化を図るもので、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国から外国人を受け入れています。日本語力、介護や看護に関する知識を一定持っており、日本の国家資格「介護福祉士」取得を目指しています。
在留資格「介護」
日本の介護福祉士養成校に通う外国人留学生は、卒業して介護福祉士を取得すると、在留資格「介護」を取得できます。日本語能力試験はN2以上を取得しているので、高い日本語力が期待できるでしょう。
※日本語能力試験N2の目安(日常的な場面で使われる日本語の理解に加えて、より幅広い場面で使われる日本語を理解することができる)
技能実習
日本の技術を外国に広めることを目的としています。ほぼ毎年、日本語能力試験や介護の学科試験・技術試験を受験する必要があり、在留期間は最長5年(介護福祉士を取得すれば、在留資格「介護」を選択し永続的に就労できる)であることが特徴です。
特定技能「介護」
就労を目的とした在留資格です。入国前に技能や日本語試験を突破しているので、ある程度の即戦力が見込めます。在留期間は最長5年(介護福祉士を取得すれば、在留資格「介護」を選択し永続的に就労できる)となります。
3.日本語能力検定の認定目安
多くの外国人労働者が受検する日本語能力検定。5段階の認定目安はどのように定められているのでしょうか。「読む」「聞く」の言語行動で表現しているので、詳しくご紹介します。
N1
日本語を幅広く理解できる
<読む>・新聞など、論理的で複雑な文章や抽象的な文章を読んで、文章の構成や内容を理解できる。
・さまざまな内容や、深みのある読み物を読んで、話の流れや詳細な表現意図を理解できる。
<聞く>・さまざまな場面(会話、ニュース、講義など)で自然なスピードで話される話の内容を理解できる。また、登場人物の関係性や、内容の論理構成などの詳細や、要旨を把握できる。
N2
日常的に使われる日本語に加え、さらに幅広い場面で使われる日本語を理解できる。
<読む>・新聞や雑誌の記事の中で、論旨が明快な文章であれば理解できる。
・一般的な話題に関する読み物を読んで、話の内容や表現意図を理解できる。
<聞く>・さまざまな場面(会話、ニュースなど)で、自然に近いスピードで話される内容を理解でき、話の流れや登場人物の関係を理解し、要旨を把握できる。
N3
日常的に使われる日本語を理解できる。
<読む>・日常的な話題で、具体的内容で構成されている文章を理解できる。
・新聞の見出しを理解し、概要を理解できる。
・日常的な場面でやや難しい文章は、ヒントを与えられれば理解できる。
<聞く>・日常的な会話で、ほぼ自然に近いスピードであれば、話の具体的な内容や、登場人物との関係性をほぼ理解できる。
N4
基本的な日本語を理解できる
<読む>・日常生活で身近な内容について、基本的な語彙や漢字を使っていれば理解できる。
<聞く>・日常的な会話で、ゆっくりと話されれば内容をおおかた理解できる。
N5
基本的な日本語をある程度理解できる
<読む>・日常生活の中で、ひらがなやカタカナ、漢字は基本的であれば理解できる。
<聞く>・身近な場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、ポイント的に必要情報を聞き取れる。
4.まとめ
外国人が日本で働くにはいくつかのルートがあることがわかりました。いくつかのルートは国家試験である介護福祉士を取得すれば、在留資格「介護」を得られ永続的に日本で働けますが、試験に落ちてしまうと母国に帰らなければなりません。介護福祉士の合格率は、受験者全体で72.3%(2022年実施)であり低くはありませんが、外国人労働者にとっては、日本語で受験するためハードルが高いといえるでしょう。そのため受け入れる事業所は日本語や介護福祉士資格試験の受験サポートが必要となります。事業所内でサポート体制を整えられるよう、既存の日本人職員に協力してもらうことが大切になります。
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