外国人労働者はすぐに辞めてしまうの?

定着のために

「外国人労働者はせっかく雇ってもすぐ辞めてしまうのでは?」「離職を防ぐにはどうすればいい?」と不安を感じる方が多いと思います。

外国人労働者と一緒に働いたことがない人の方が、不安を感じる割合が高いという調査結果も出ています。

今回は外国人労働者が離職する理由や、外国人労働者と一緒に働く人たちの声をまとめましたのでぜひ参考にしてみて下さい。

1.外国人労働者の離職理由

介護職員の離職率は14.9%であり、全職種の平均14.2%と大差ありませんが、人手不足を感じている事業所がほとんどです。そのような中で外国人労働者を受け入れても、すぐに辞められてしまっては元も子もありません。外国人労働者の主な離職理由は何でしょうか。よくあげられる内容をまとめました。

・日本語のサポートが少ない

海外旅行の経験がある方は、旅先で言葉が通じずもどかしい思いをしたことがありませんか?外国人労働者は、慣れない日本語を使って介護の仕事をしています。勉強はしていても、母国語でない言葉を使って仕事をすることへの負担は容易に想像できますよね。

伝えたいことが伝わらない、相手の言っていることが理解できない。そこには相当な負担がかかっているはずです。一方で、一緒に働く職員にとっても同様で、言葉が伝わらないことへのストレスが生じています。

また、多くの外国人労働者が目標としているのは、国家資格である「介護福祉士」の取得です。資格取得までのルートは様々ですが、やはり一番のハードルは日本語となります。日本人と同じ筆記試験を突破する必要があるのです。希望すれば漢字にふりがなを付けてもらうことはできます。しかし語彙力はもちろん、読解力も必要となりますので、外国人労働者にとってハードルは高いでしょう。

そのため日本語力アップに対するサポートが大切になります。

・将来展望が見えづらい

外国人労働者は明確な目的・目標を持って来日している方がほとんどです。例えば、「日本で稼いだお金を母国にいる家族の生活費にあてたい」、「介護福祉士を取得してスペシャリストになりたい」などです。そのため資格取得のサポートや、キャリアアップを事業所が示していない場合、「このままでいいのだろうか」と迷いが生じやすくなります。特に外国人労働者の場合、母国に帰るという選択肢があるので、事業所内でのキャリアアップを示すことは重要になってくるでしょう。

・上司の対応に不満がある

受け入れに慣れていないと、上司は接し方に迷うでしょう。シンプルに伝える、Yes/Noで答えられる問いかけをする、などの配慮が必要です。特に外国人労働者は日本語に慣れていないので、このような外国人に合わせた対応をすることで相互理解が進みます。

・職場の人間関係が悪い

異国での生活には孤独がつきものです。身近な職場関係がよくないと「帰りたいな」と思うきっかけになります。一方で、職場は遊びの場ではありませんので、単なるお友達にはなれません。仕事を通じて一緒に目標を達成したり、力を合わせて業務をこなすことが良好な関係性を築くきっかけになるでしょう。

・外国人労働者に対する理解が不足している

人間関係を築くためにはお互いを理解することが大切です。日本人職員から積極的に文化について伝え、外国人労働者の文化について質問してみるといいかもしれません。

・休みを取りづらい

あまりにも希望を聞き入れてもらえないシフト構成であると、不満は溜まってしまいます。また有給が全く取れない、産休・育休などの長期休業を取りづらい雰囲気があるなども離職に繋がります。

・残業が多い

残業が恒常化してしまっている場合も職員を疲弊させてしまいます。シフト時間内に業務が終わるように業務を分担する、効率化を図る、不要な業務削減の決断をするなど、残業を減らすために事業所が一体となって取り組むことが大切です。

・給与に不満がある

相場に合っていない給与である場合は、なるべく相場に近づけることが大切です。また、自身に対する評価に納得できず、それに相応する給与に不満を持ってしまうケースもあると思います。これに対してもコミュニケーションが大事になると思います。具体的には今後ご紹介したいと思います。

このように見てみると、ほとんどが日本人の離職理由にも当てはまる項目だと気付かされます。根本は、相手が何を思っているのかを日々考え続けることが、みんなが働きやすい職場をつくることに繋がるのかもしれません。

2.外国人労働者を雇用した事業所の声

実際に外国人労働者を雇用した事業所はどのように感じたのでしょうか?

言葉の違いや、宗教への配慮は?既存職員や、ご利用者、ご利用者のご家族の反応は?実際に外国人労働者を受け入れた事業所の声をまとめてみました。

・外国人労働者の高いモチベーション

「ご縁があって話をした外国人は、自分のためではなく、家族のためにお金を稼ぎたいという思いが強い方でした。驚いたのが、そこに悲壮感はなく、笑顔で大変前向きな姿勢でした。すごくピュアな感じがして、採用を決断しました。」

「受け入れをした時期がバタバタしていて、外国人職員に指示を出せないことがありましたが、率先して仕事に取り組んでくれたことには驚きました。受け入れの準備は大切ですが、それに囚われすぎてはいけないなと実感しました。」

「彼ら、彼女らの仕事ぶりは本当に気持ちいいんです。常に笑顔、元気がよく、朝はだれよりも大きな声で『おはようございます!』とあいさつしてくれるので、私たちの方が見習わなきゃなあなんて話しています。」

「外国人職員は、分からないことはすぐに質問してくれるので安心できます。メモを取らないことに驚きましたが、それでもしっかり覚えていることが多いので、それでもいいのかなと思います。」

・既存職員との関わり

「既存職員が予想以上に新しく入った外国人職員に関わってくれました。業務中はもちろんですが、外国人職員がトイレに入り戸を閉めなかったときや、内履きのまま外に出てしまった際にルールを教えてあげていました。」

「年齢層の高い既存職員は、若い外国人職員を我が子のように思ってくれる人が多いです。日本語をはじめ、丁寧に接してくれています。外国人職員が壁をつくらないことも影響していると思います。」

・日本語習得に関するフォロー

「利用者から特にネガティブな感想は聞いていません。一方で、方言を話される利用者に対して、外国人職員が戸惑っているところは目にしました。日本語を学ぶ際に各地の方言までは学びきれないと思うので、入所後に慣れる必要がありますね。」

「技術面の教育は現場にお願いしていますが、それ以上の教育は負担をかけたくないと思っています。日本語やその他の介護知識は現場以外で学べるように、教材を買ってあげるなどのサポートをしています。」

「仕事に対して真面目に取り組んでくれますね。介護技術は、教えると短時間で習得してくれてすごいなと思いました。コミュニケーションに関しても、利用者との会話での問題は感じていません。入所前は既存職員から不安の声が少しありましたが、いざ一緒に仕事をしてみると、今のところ大きなトラブルはありませんし、既存職員も外国人職員も働き方の感覚を掴み始めていると感じます。課題としては、職員間のコミュニケーションですね。やはり専門用語など、外国人にとっては難しい日本語を使うことがあるので苦戦しています。うちでは翻訳機などを使い、フォローするようにしています。入所直後数ヶ月は大変だなと感じることがあると思いますが、それもはじめのうちだけだと思いますよ。」

・関係づくりに関するフォロー

「表には出さないですが、一人外国である日本に来ているので、寂しそうだなと感じることがあります。そのため定期的に外国人職員同士で交流できる場を設けるようにしています。」

「お互いの国の文化を理解するようにしています。例えば日本文化を理解してもらうために、利用者の日本食を食べてもらったり、着物を着付けてみたり。はたまた外国人職員が好む辛い食べ物があまりないので、施設で唐辛子栽培に挑戦しています。」

「受け入れ前は宗教への配慮が心配でした。しかし受け入れてみると、普段は空室にしている利用者のご家族用の部屋をお祈りに使ってもらっていて、こちら側に特段負担はありませんでした。」

3.まとめ

受け入れ前は不安を感じていても、必要なサポートをすれば課題解決できたと感じている事業所が多いようです。特に「熱心に仕事に取り組んでくれる」「実技の覚えが早い」と感じている事業所がありました。多くの外国人労働者は「自国の家族に仕送りをしたい」「資格を取りたい」など、明確な目的・目標があって来日しており、高いモチベーションで仕事に取り組んでいます。この思いが一緒に働く日本人職員のモチベーションを上げてくれたり、事業所全体を明るくしてくれるのかもしれませんね。

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