うちの店に外国人スタッフ?無理無理!

トシさんが経営するアゴだしラーメン店の常連のナカさん。今日もカウンターで特製アゴだしラーメンに舌鼓を打っていましたが、どうもトシさんの顔は浮かない様子です…

 

ナカ

 

トシさんところのラーメンはいつ食べても美味かー!
博多とんこつもよかけど、このアゴだしラーメンば、無性に食べたか時のあっとさねー

トシ

 

そうね。そいは良かった…

ナカ

 

あれ?どがんしたと?
何か元気のなかごたっけど…

トシ

 

また人の辞めたっさねー…
もう今年になって3人ばい。
今おるスタッフが休み無しで働いてくれとるけど、いつまでもそがんわけいかんし、もう店ば閉めんばかもしれんとも思っとっとさね…

ナカ

 

そがんね。そがん悩んどるとは知らんやった…そいはキツかね…

ナカ

 

ところで、トシさんところは、外国人は雇わんと?

トシ

 

ん?外国人?無理やろー!オイは英語は喋れんばい!

ナカ

 

いや、外国人と言っても、英語ばしゃべる人ばっかいじゃなかし、日本で働いとる外国人は、結構日本語喋れるとばい。

日本で働く外国人の日本語レベルは?

まず覚えておきたいのは、外国人が日本で働くためには資格が必要だということです。

 

その資格(在留資格)には幾つかの種類があり、同じ国籍の外国人でも次のような異なる資格で働いている可能性があります。

 

・海外からの技能実習生
・大学を卒業した外国人
・留学生によるアルバイト
・配偶者や親が日本人である外国人
・業種ごとの特定技能試験に合格した外国人

 

持っている資格によって就ける仕事も日本語レベルも違う

働く外国人は、持っている資格(在留資格)によって、就労できる仕事や労働時間が制限されており、また求められるスキルや日本語レベルも違ってきます。

 

ですから、外国人の雇用にあたりまず最初に考える必要があるのは、自社(自店舗)の業種や職種にマッチするのは、どの資格を持った外国人なのかということです。

 

ちなみに、上で挙げた資格の異なる外国人を、日本語レベルが平均的に高い順に並べると次のようになります。

 

大学を卒業した労働者 > 留学生アルバイト ≒ 特定技能試験に合格した労働者 > 技能実習生

 

「配偶者や親が日本人である外国人」の日本語レベルは、人によって大きな差があります。

 

日本語レベルをどのように判断する?

同じ資格(在留資格)をもった外国人であっても、個々の日本語レベルにはかなり開きがあることも多いです。

 

例えば、同じ「留学生」の資格をもつ外国人でも、来日したばかりの人と、日本語学校で2年間学んだ人とでは日本語能力に大きな差があることが想像できます。

 

では、資格(在留資格)以外に日本語レベルを判断する方法はあるのでしょうか?

 

よく用いられる判断基準が、日本語能力試験(JLPT)の検定結果です。

 

これは日本人が受ける英検(実用英語技能検定)のようなものです。

 

日本語能力試験(JLPT)は、レベルに応じて以下の5段階に分けられています。

 

レベル 目安 説明
N5 基礎的レベル ひらがなやカタカナは読めるが会話は困難。
N4 基礎的レベル 簡単な接客はできるが基本的には接客の伴わない業務が適する。
N3 日常会話レベル 完全ではないものの普通にコミュニケーションがとれる。ホテルや飲食店などで接客ができる。
N2 日常会話以上のレベル 日本人とほぼ対等にやり取りできる。ある程度の交渉もでき、一般事務や電話応対も可能。
N1 日常会話以上のレベル 日本人と会話しているのと遜色ない

 

このようにN1が最もレベルが高いわけですが、それだけ希少な人材になり、見つけることも雇うこともハードルが高くなります。

 

ですから、まずは自社(自店舗)の業務にどの程度の日本語レベルが求められるかを考え、それに見合った日本語能力をもつ外国人を探すほうが早く見つかるでしょう。

 

例えば、ほとんど接客が伴わない作業であれば、N5やN4の人材でも十分に活躍でき、そのような外国人材はN1やN2の人材よりも多く見つかります。

 

日本語能力試験だけでは分からない部分

履歴書だけを見て「日本語能力試験N3」と書いてあると、かなり日本語が上手で接客もできそうだと思うかもしれません。

 

そして、仕事を教えたり、職場でコミュニケーションをとるのも、日本語で十分いけるだろうと予想するかもしれません。

 

でも、実際に雇ってみると、意外に会話がスムーズにできないということも珍しくありません。

 

これは日本語能力試験の落とし穴とも言える点で、ちょうど英検の成績と英会話力が必ずしも一致しないのと似ています。

 

 

日本語能力試験は、「読む力」と「聞く力」を評価するもので、「書く力」や「話す力」を見極める内容は試験範囲に含まれていません。

 

日本語能力試験のレベルが高いことは、日本語の会話力を伸ばす上で役立つものの、その能力が高いことの証明とはならないというわけです。

 

ですから、日本語能力試験のレベルだけで判断せずに、面接の際の会話や筆記試験を行なうなどして日本語力を総合的に見極める必要があります。

 

資格ごとの日本語能力試験のレベルの目安

外国人が働く資格(在留資格)によって、求められる日本語能力のレベルも違ってくるという話をしましたが、その目安を表にまとめると次の通りになります。

在留資格 日本語試験レベル
大学卒労働者 N1~N2
留学生アルバイト N2~N4
特定技能労働者 N3~N4
技能実習生 N4~N5

 

この日本語能力試験のレベルが、日本語の会話力とは必ずしも一致しないという点は既に述べたとおりです。

 

それでも一般的な目安として、職種ごとの必要な日本語能力を考えた場合に、それぞれの職種に適する資格(在留資格)は以下のようになります。

 

職種 在留資格
一般事務・営業・企画 大学卒労働者
IT系技術職 大学卒労働者
接客・販売・サービス 大学卒労働者・留学生アルバイト・特定技能労働者
製造系技術職 特定技能労働者
工場作業・農作業・建設 留学生アルバイト・特定技能労働者・技能実習生

トシ

 

なるほどね。
日本語で通じる外国人ば、探せばよかとたいねー

ナカ

 

そうそう。日本で働きたか外国人は、だいたいみんな日本語ば、勉強してきとるとさ。
トシさんのお店だったら、N3かN4の日本語能力試験に合格しとる外国人ば、探せばよかとじゃなかかな。
もちろん、実際に会話ばしてみて、会話力を確かめてみんばばってんね。

まとめ

どの在留資格をもつかにより日本語力にも差がある
日本語の会話力は試験成績だけでは分からない
雇用の際にどの程度の日本語力を求めるか決めておく